◎ 霜 害 ◎
《本県の霜害地域と霜害時期》 |
離島の種子島産地でも霜害が発生することがあり、離島から本土まで県内全域に発生します。
特に、伊佐地方や姶良郡の上場地帯は、晩霜の被害を受けやすい。
晩霜の時期は、4月下旬頃まである年もあり、昭和51年には、4月25日に晩霜があった記録もあります。 |
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被害状況 |
被害後3日目の状況 |
被害後48日目の状況 |
《 晩霜の予想 》 |
被害程度の差はあれ県内全域的に生じている。霜が降りる一般的な条件としては
@大陸の高気圧がおとろえ、その一部が北西から東に移動するいわゆる移動性高気圧が発生したとき。
A日中快晴であたたかく、夕方から冷え込んで空気があまり湿っていないとき。
B夜空に雲はなく、空は晴れわたり冷え込みが厳しく、風がほとんどなく、月がよく見える日。
霜の降りる気温は、翌朝の最低気温が4℃以下になった場合に一応霜が降りる限界とされている。 |
《 事前対策 》 |
(1)霜害危険地の回避
霜の道、霜の強いほ地があります。霜害を受けやすい地形として、くぼ地、傾斜地のすそ部、堤防に囲まれ
たところなどのように、風の通らない、冷気のたまりやすい場所は霜が強い。
このようなほ地にはたばこの植付けは極力ひかえる。
(2)健苗の育成
苗床後期にできるだけ順化処理を行い、霜害に強い健苗の育成に努める。
(3)降霜予報が発表されたら15時頃には移植作業はやめる。
移植直後まだ活着していないときが最も被害は大きい。
気象台から霜害警報が出されたら移植を極力ひかえ順延する。
(4)穴植えを行う
被覆体系は主に折衷マルチ方式で、移植機でマルチの上からこれをカットして穴植えにするのが一般的で
あるが、できるだけ穴の深さは13〜15cm位の穴植えにし、霜害防止に努める。
早植えの場合は、できるだけ深植えにすると防霜効果が高いので深植えにする。
(5)降霜が予想される場合は、土寄せ、土入れ作業はひかえる。
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《被害後の対策》 |
霜害の時期、たばこの大きさ、被害の程度などによって被害後の処置、対策の仕方は大きく異なります。
また、霜害を受けた日の天気によっても被害の程度は異なります。
すなわち、霜害を受けた朝の天気が晴天で融解速度が早い場合は被害が強くなり、曇天の場合は、被害は軽減
されます。 |
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↑ 葉4枚霜害 |
↑ 葉のほとんどが霜害 |
↑頂上部まで霜害 |
(1)移植直後の被害対策
本ぽ移植直後に、まだ活着していない場合の霜害は大きな被害を受け、回復できなくなることがあります。
幹、頂上部(心部)まで被害を受け、わき芽が出ない場合は、苗のある限り植え替えます。
(2)葉が3〜4枚被害を受けた場合の対策
移植後20日位するとたばこも大きくなり、植え穴から出た葉が3〜4枚霜害を受け、心部は被害を受け
ていない場合は、生育に支障はない。
そのままの状態で様子をみます。
(3)葉のほとんどが被害を受け、頂上部(心部)は被害を受けていない場合の対策
晩霜で被害を受け、葉全体が焦げ茶色になってしまったが、幸いに心部は被害を免れた状態であった頂上
部(心部)が被害を受けていない場合は、そのまま伸長させる方が生長は早いようである。
(4)頂上部(心部)が被害を受け、変色して黒ずんだ株は本木延長の処置をする。
「霜害を受けたら心配して早く何とか手入れをしたい」と思うのは当然ですが、5日程度はそのままの
状態で様子を見ます。
霜害を受けてから最も重要なことは
@排水対策を万全に行い、根を健全に守る。
Aモザイク病が発生する懸念があるので、できるだけたばこに触れないようにする。
(5)本木延長と1本仕立ての方法
頂上部(心部)の被害を受けた株からは下のほうからわき芽が伸びてきます。
わき芽の本数やわき芽の形は色々と違います。
1本仕立てにする作業の方法は
@下から2〜3節のわき芽の中から勢いの良い、形のよいものを1本残す。
A被害後20日位の頃に1回目2本を残して伸ばし、1ヶ月後優勢なものを1本立てにする方法もあるが、
労働的にもモザイク病との関係も有り、実際は1回で1本仕立てにしているし、効率的である。
B被害後20日程度経過してからがわき芽の判定を行ったほうが作業性が良い。
C晴れた良い天気に1本立て作業を行う。
D下葉が着いていたら残しておいた方が生育が良い。
Eモザイク病の防止上できるだけ、たばこに触れないように努める。
F切除したわき芽は、たばこほ地外へ持ち出す。
G病害予防対策として、ヒトマイシンを散布する。
H1本立て作業は、わき芽の伸長やわき芽の大きさをよく判定して行う。 |
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↑本木延長のため
わき芽伸長
被害後9日目 |
↑わき芽伸長状況
被害後17日目 |
↑ わき芽伸長した株
被害後17日目 |
↑わき芽1本立
本木延長
被害後33日目 |
(6)霜害と追肥について
霜害を受けたら生育促進を図ろうという気持ちから追肥をするという考えがでてくるかもしれませんが、
晩作の原因になりますから追肥しないで下さい。
ただし、砂地やシラス土壌、基盤整備地のボッコ土壌などのやせ地(地力のない土壌)において、干ばつで
土壌が乾燥し、水分不足のため生育不振の場合には、速効性の窒素肥料を少量水に溶かして潅水という考え
方で補う方法がむしろ生育を促進し、結果が良いことがある。
この場合は、おそくとも4月25日までには終わることが晩作防止の上から大切なことである。 |
《まとめ》 |
近年のたばこ耕作は、良質葉生産と台風災害の回避を図る上から、移植時期が早くなり、霜害に遭う頻度も多く
なってきている。
したがって、霜害を受けても気落ちしないで、発根を促進させるための土寄せや排水対策、わき芽防止など適切
な栽培管理に努めることによって、無被害と大差ない結果が得られることがある。 |
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被害後3日目撮影
平成5年4月10日被害 |
被害後17日目
わき芽伸長した株もある |
被害後48日目
無被害畑より心止がやや遅れる |
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