◎ 湿     害 ◎ 
《 湿害の状況 》
・連日の降雨によって畦溝に水がたまり、土壌水分が過湿状態になると、葉色は黄化し、生育不良となる。
 これは、水分過多によって根の生長と機能が衰えるからで、はなはだしいときは不時発蕾を起こし、葉形は小さく狭長となって収量品質は低下する。
・外観葉数13枚から15枚程度の頃に湛水日数が最も影響するようである。
・湛水日数が3日以上になると下葉から黄化し、ひどいときは下葉が枯れ上がり現象を起こす。
《 湿害対策 》
@排水が悪く、水がたまりやすい過湿状態のほ地には作付しない。
A大高畦栽培にする。
B排水溝を完備する。二段排水溝が効果的である。
C畦間に水溜りがないかほ地を見巡り、排水対策を行う。
D湿害により生育不振たばこへの葉面散布
   根の活性不良によって生育不振のたばこに限って葉面散布をする。
《過去の浸水被害及び対策》
○栄養生長期における浸水被害および対策
   土寄せ(土入れ)作業も終り、たばこが最も生長する4月下旬から5月中旬にかけて集中豪雨があり、たばこほ地が浸水して被害を受けることがある。

 (1)川辺町における浸水被害状況
   @4月24日朝から大雨が降り集中的な豪雨となる。
   Aたばこほ地に泥水流入してたばこの上葉まで冠水した。
   B浸水し、たばこに冠水していた時間が4時間程度であった。
   C幸いに水温が低く、水も流動していた。
   Dたばこが栄養生長期で活力があったことから回復は早かった。

 (2)浸水被害対策
   @一刻でも早く排水するため、排水溝の手直しを行ないほ地内を乾かすように努める。
   A畦面被覆を株元までまくりあげる。
   B葉に付着した泥水を洗い流す。
   Cほ地内の泥土やゴミなど整理
 このような浸水被害対策を徹底したため、冠水時間が4時間以内であったことからその後の生育にほとんど影響なく正常作柄となった。

葉に泥が付着、
上葉まで冠水している

水溜り、過湿状態
○成熟期における浸水被害および対策
   たばこが成熟して収穫の時期になってからたばこほ地へ浸水し、滞水している時間が長くなればなるほど被害は大きくなる。
   成熟期になってから被害が大きくなる原因は、水の温度が高くなるからであろうと考えられます。
   夏の暑い6月〜7月になると水温が30〜35℃位になり、浸水時間が長くなると回復が困難となり大きな被害を受ける。

 (1)菱刈町における浸水被害状況
   平成5年7月5日伊佐郡菱刈町馬頭水流の水田で、たばこほ地の浸水によって大きな被害が発生した。
   菱刈町の水田産地は、川内川の流域にたばこほ地があり、川内川の上流であるえびの市、吉松町、栗野町の降雨量が大きく影響する。
   平成5年7月5日は前日から雨が降り続き、朝方には集中豪雨となり、菱刈町の水田産地は全面浸水した。
   排水対策をするにも川内川の水面が高くなっており、逆流する状態の中では、打つ手段はなく、川内川の水が引くのをまつ状態で、関係者は大変心配した。

 (2)菱刈町における浸水被害対策およびたばこの状態
   @一刻も早くたばこほ地から排水することであるが、川内川の逆流がなくなるのをまって排水を徹底する。
   A排水がなかなか難しいほ地では、排水用動力ポンプを使用する。
   B成熟期の浸水は、葉の黄化枯れ上がりが早く枯死し、収穫できない状態になるので合葉、本葉から早めに収穫乾燥する。
   C6月から7月に浸水し、冠水した場合は、葉の傷みが早いから収穫乾燥作業を最優先して行なう。
   D成熟期に泥水が浸水したほ地は、浸水時間にもよるが、急に黄化して収穫できない状態になるので、泥水の付着が少ない葉から早く収穫乾燥する。
   E葉面に付着した泥を落とす作業は重労働であり、なかなか付着した泥は落ちにくい、収穫時期には実際問題として無理な作業であると思います。

菱刈町水田浸水状況

菱刈町水田浸水状況

葉に泥が付着した状態

浸水後5日目の状態