◎ 高 温 障 害 ◎ 
     
 高温障害の重症株  高温障害10日目の状態  高温障害株本木延長
 1、高温障害の状況および被害の特徴  
 平成10年3月30日貼付マルチ被覆栽培産地において高温により大きな被害を受けた。
 3月下旬は、雨曇天の日が続き、天候不順であったためたばこの生育は軟弱傾向であった。
 久しぶりに当日は朝から無風快晴で気温は急激に上昇した。
 貼付マルチ内は高温化し、たばこは煮えた状態となり、葉はもちろん幹まで被害を受けたものもあり
 悲惨な状況であった。

 被害の程度はほ地条件によってかなりの差が見られたが、特徴的な事項は次のとおりである。

(1)貼付マルチのフィルムが朝露などでマルチにベタ着きして、密閉状態となり、トンネル内が高温
   化し被害を受けた。

(2)北側に山林が隣接したほ地、防風網に近い畦、高土手に近い畦など通風が不良なヶ所は被害が大
   きかった。

(3)同一ほ地、同じ畦であっても被害程度は大きく異なり、霜害よりも株毎に生育差が生じ、不揃い
   となった。

(4)たばこが大きく生長し、貼付マルチフィルムを押し上げ、トンネル内に空間ができ、風通しがで
   きる状態であれば被害は少ない。

(5)晴天であっても風が強く、貼付マルチフィルムがパサパサとゆれる状態で、トンネル内が空間と
   なっていたら被害は少なかった。
 2、高温障害防止対策  
 (1)予防対策
 @移植後3株間隔毎に針金支柱を立て、その上にマルチを貼付し、トンネル内に空間をつくる。労力
  的には多少かかるが安心であり、被害を受けない。

 A移植後10〜14日程度経過してから貼付する。
  たばこが少し生長し、支柱の役目となり空間ができ被害が少ない。

 B晴天無風の日は気温が上昇し、トンネル内は高温化し、高温障害を受けるおそれのある場合は、
  すみやかにフィルムをカットする。
  労力的に問題がある場合は4〜5本おきにカットするのも有効的である。

 C雨や朝露で貼付マルチがベタ着きになり、密閉状態のときは危険であるから、通風を良くするよう
  に貼付マルチの管理を行なう。要はトンネル内の空間、風の通りを良くすることである。
 (2)被害後の対策  
 @高温被害は霜害よりも被害が大きくなる。
  移植後まだ根が十分に活着していない時期に、幹まで被害の重症の場合は、苗がある限り植え替え
  たほうが生育揃いが良い。

 A被害を受けた場合は、7日程度そのままの状態で様子を見る。
  頂芽部、幹の被害状態によって判断する。

 Bわき芽で本木延長をするか、しないかの判断は難しいが、頂芽部が煮え変色して黒ずんだ株は本木
  延長する。

 C頂芽部が正常な株はそのままにして生育させる。

 D正常株が少なく、点々と正常株が残っている場合は、作柄の均一化をはかるうえでは、全株本木延
  長する方が作業性が良い場合もある。

 E被害株への追肥
  被害が大きく、生育の回復が遅い株については、「元気づけ」として液肥で追肥すると効果的であ
  る。
  追肥したほうがよいか、しないでそのままにして生育させるかの判断は、土壌タイプ、たばこの被
  害程度、回復力などによって差があるが、砂地、赤ボッコ、シラス土壌で地力のない土壌では効果
  的である。
  手っ取り早い方法は加燐硝安を水に溶かして株元へ注入すると良いが、最も安全な方法は液肥が良
  い。

 F地力のある黒ボク、野菜跡地など肥沃地では、大柄晩作になる危険性があるので追肥をしない。

 G被害後は被覆管理、土寄せ、排水対策など万全に期し、回復を早める。